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2012年2月
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2010年11月12日

10・20奄美豪雨その6 文化財レスキュー

2010/10/20に発生した奄美大島の大規模水害に関する情報をまとめたWikiのアドレスです。
クリック→1020amami @ ウィキ

先週末、沖縄から懐かしいお客様ご一行がいらっしゃいました。
沖縄県博物館協会の研修会で来島した一行は、豪雨で被災した原野農芸博物館で復旧作業を行なうというので、文化財ボランティアとして、私も微力ながらお手伝いに上がりました。
現地に着くと、従業員や市民ボランティアの皆さんが、一部木工品などの初期洗浄を済ませていました。

泥が隅々に残っている展示室の奥へ歩き進めると、もう次の展示室の入口をふさぐほど土砂に埋め尽くされ、言葉を失ってしました。
美術品を扱うというよりも発掘。
いや、泥染め。
普段なら赤ちゃんを抱くように優しく扱うような美術品。
それを水道水でじゃぶじゃぶとやるわけで。
鈍器で殴られたような現実に、作業をしようと私の目の前へやってきた浦添市美術館学芸員の0さんと思わず顔を見合わせてしまいました。

作業を終えた沖縄県立博物館の牧野浩隆館長も
「涙が出てきます。これが自分の家だと置き換えたら…言葉に詰まります」と。
被災から直後に近いこの日の状態を目のあたりにした一行は、災害の大きさを改めて実感したようでした。

それにしても今日の土砂の量には驚きました。
民家や他の公共場所の土砂の応急処置的な移動は、大方済んでいるようにも見受けられるこの時期に、です。
いま私は博物館に身を置く立場ではありませんが、今回の沖博協の皆さんの支援は奄美大島住民として深く感謝に尽きません。
奄美大島史上最悪の豪雨災害で手探り状態のなか、微力ながら少しでもお手伝いができればと思います。

この日の様子が、地元紙にコラムとして掲載されていたので転載します。

◆南海日日新聞(2010年11月9日付け)◆

 奄美市住用町山間の奄美アイランド内にある原野農芸博物館(原野耕三館長)。タイやラオス、ミャンマーなど東南アジアの民具や民族衣装などの資料を多く収集し、調査・研究している。
 そんな博物館が先月20日の集中豪雨で壊滅的被害を受けた。大規模な土石流によって収蔵庫や展示室などが破壊され、約2万点に及ぶ収蔵品の多くが土砂に埋まり、水に浸かってしまった。
 文化財の復旧には専門家の支援が必要だ。奄美文化財保護対策連絡協議会(先田光演会長)は6日、沖縄県博物館協会の協力を得て、同博物館の収蔵品の”救出作戦”を展開。学芸員約20人が土砂に埋もれた資料を回収・保管する作業に汗を流した。
 鹿児島県歴史資料センター黎明館の川野和昭学芸専門員は「国立民族学博物館にもない貴重な物がある」と評価。奄美のチヂンや同館所蔵の蒸留器などが東南アジアのものと酷似していることに着目。長年、その比較研究を続けている。同博物館の早期復旧が待たれる。
 ライフラインの復旧が進む一方で、貴重な文化財がごみとして廃棄される心配もある。奄美博物館の中山清美館長は「文化財はシマの魂だ。復興対策には、土木関係者のほか、文化財保護や自然保護の専門家も加えるべき」と指摘した。
 この災害を教訓に、”文化財レスキュー”の体制づくりが急務だ。加えて、文化財行政の在り方も問われている。(以上終わり)



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Posted by しまあそび at 07:00 │Comments(0)災害状況
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